ちょっとしたアレで世界なのね
最近、現実感がない。
生きているという実感はあるのだけれど、どうも世界に触れている気がしない。
考えてみれば人間なんてあやふやなもんで同じものを見ても時によって形が変わる。
高校生の頃に触れた音楽ではもう心は震えないし、昔観た映画は懐かしいばかりだ。その出来の良さや構成の面白さなどは変わらないが、僕に迫って来る感覚はもうない。
こちらに迫って来るその手応え。実感。
そういう世界の温かみが世の中に足りないのかもしれない。
あるいは僕が世界を前に呆然としているだけなのかもしれない。
もう少しで世界に触れられるという予感。
触れたいんだな。
ちょっとしたことで不意に、
「あ
コレが
世界だ」
と
感触を覚える。
その時、栄光の中にいる。
ちょっとしたアレで世界なのね。