コツ
人間がやる物事の全てにはコツというのがあるようで、そのコツとやらは一般的なイメージからはかけ離れていたりする。
そういえばコントラバスを弾いていてよく聞かれるのが握力のことだったりするのだけれど実はバカほどの握力は要らない。
コツ、というやつだ。
学生時代に書道の授業があった。
毛筆。
そのコツを細かく紐解いていく内容に目から鱗がおちた。
小中高と書道の時間があったけれど、そのどれもが判を押したように
「お手本をよく見て書きなさい」
という例のアレだった。
筆の持ち方や字形の取り方など教わったんだろうか、まったく覚えていない。
覚えていないだけで教えてくれていたのかもしれないが、実際大学の授業でハッと目が覚めたのは覚えている。
そうか、こういうことだったのか。
コツ、というのはそのまま方法論でもある。
やり方。
「やり方ってもんがあるんだよ」
うちの酒蔵の杜氏の言葉。
知らない奴にはやり方を教えなければダメだ。
知らないことやわからないことを責めても仕方がない。
思えば僕の球技コンプレックスはバスケのドリブルのタイムを計るという小学校の時の授業からだと思う。
やり方も知らずに記録だけ取られる。
見るも無残な記録だった。
記録など棄権してコツを教わればよかった。
お手本をただ見るばかりでは、自分のイメージを投影してしまって見えないことだらけだ。
あれ、ここはこうなってるのか。
コツとやらを世界中の其処彼処に見出そうと。
最近はそうやって新たな目で世界を見渡している気分だ。
それにしても、コントラバスの後ろに構えてしまう初心者を目の当たりにすると、行ってお節介にも教えてあげたくなっちゃう。
コントラバスは横に立って構える。